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 当サイトは、書評ライターの中島駆(中島正敏)と、その盟友・梶尾保、井塚章文によるサイトです。ブログやレビュー記事へのコメントはどなたでもご記入可能です(コメントは承認後に反映されます)。お気軽に書き込みしてください(^^

【出版社様へ】お仕事のご依頼をお待ちしております。また、ご献本いただければ当サイトにてご紹介させていただきます(必ずしも好意的なレビューを書くとは限りませんが(^^;)。どうぞお気軽にお申し付けくださいませ。中島のプロフィール、および連絡先はこちらのページをご参照ください。


お知らせ

[2008/05/15]
講談社の文庫情報誌「IN・POCKET」2008年5月号に、中島駆名義にて薬丸岳氏のレビューを書きました。〈真摯な決意と覚悟を胸に「善悪」の境界に佇む作家 薬丸岳の魅力〉いうタイトルです。よろしければご笑覧くださいませ。「IN・POCKET」のウェブサイトにて、拙文の一部が公開されています。


[2008/03/26]
いつも中島がお世話になっている「なごや博学本舗」さんが「呉智英先生の月イチ論語塾」を開講しています。1期10回(予定)。場所は名古屋近辺の施設で行います(2時間程度)。第一回、第二回は終了しましたが、途中回からの参加も可能です。まだ若干、定員に余裕があります。この機会にぜひ受講してみてはいかがでしょうか。詳細はこちらをご参照ください。もちろん、中島も受講しております。


『夢がかなう9カ月英語独学法――「できない自分」にサヨナラしよう!』

[2007/10/31]
中島が理事を務めるNPO「五時から作家・書評家を支援する会」から、新刊のお知らせです。
「この本があなたの最後の英語読本になる!」――詳細はこちらをご覧ください。




[2007/05/15]
講談社の文庫情報誌「IN・POCKET」2007年5月号に、中島駆名義にて伊坂幸太郎のレビューを書きました。〈「だまし絵」の住人と、「物見の塔」への案内人・伊坂幸太郎〉いうタイトルです。よろしければご笑覧くださいませ。「IN・POCKET」のウェブサイトにて、拙文の一部が公開されています。


[2007/03/15]→総合テレビでの再放送が決定!8月19日(日)夜9時50分〜
土曜9時にNHKにて放送されたドラマ『ハゲタカ』。その原作である真山仁著『ハゲタカII』(講談社文庫/2007年3月15日発売)の巻末解説を執筆しています。よろしければご笑覧くださいませ。(中島 駆)



執筆者別

最近のコメント

梶尾タモツの「通勤電車で短編も」
投稿者: zocalo 投稿日時: 2008-3-2 15:15:00 (0 ヒット)
通勤電車で短編も

 阿川弘之は、僕にとって気になる小説家のひとりである。
 『大人の見識』はよく売れているし、福田和也の「作家の値打ち」でも、阿川の『舷燈』(ようやく古本で手に入れたと思ったら、講談社文芸文庫で復刊するとかー)は89点の高得点だったし。
 けど、肝心の小説を読んではいないのだ。今回の「年年歳歳」(講談社文芸文庫『戦後短編小説再発見8 歴史の証言』所収)で、はじめて読んだ。そして、予想通り、素敵な作品だった。
 
 *
 
 主人公の道雄は復員を果たし、夜汽車で故郷の広島へ向かっている。過ぎてみれば、戦争もただ《無暗にいそがしかっただけだった》。
 原爆のことは、道雄も戦地で知っていた。広島には、両親がいる。だが生きているかどうか。汽車のなかで眠りにつきながら、不安と楽天とない交ぜになった気持ちのまま、廃墟となった故郷に道雄は安否を尋ねに行く。
 広島に近づくにつれて、瓦礫の原がつづくようになる。

《「綺麗なもんだ」
彼はなるべく落ちつくようにした。何もありはしなかった。家の辺りも北の果から南の果へ同じ焼野原である。昔は汽車から見えなかったビルディングの残骸がぽつんぽつんと見えた。焼けただれて黒く尖った木々の姿は不気味であった。同情してくれた兵士たちは黙った。》
 
 しかし、その焼野原にも、確かな生命の芽生えがあった。
 
《「でも麦が生えている」
誰かが言った。ほんとにそうだった。焼けあとに麦がよく伸びていた。それは何か心を明るくした。》

 案に相違して、道雄は両親と再会することができた。父親はひどく老け込んで、道雄を見ると、歯のない口から「う、う、う」と子どものような声をあげた。両目が悪い母親と甥と三人、何とか生活をしていた。穏やかで朗々とした一週間がすぎていく。
 そんなある日、道雄は母親と花見にでかける。明後日には、道雄は職探しに上京する予定だった。
 
《土手になった道を歩く。両側は片づけられない瓦礫や、錆びた鉄屑がいっぱいに散らかっている。その合いに、家の跡にも小路のほとりにも麦が伸びていた。所々に菜の花が見える。南の方に、焼けたままのビルディングが、驚く程近く見えた。
 桜の古木が一株、大枝の中ほどから折れて地に垂れ下がったまま豊かに花をつけていた。
「爆風で折れたんだろうね」
「そうやろな。折れてもきれいに咲くもんやなあ。小枝を少し折ってくれへんか。お父さんに持って帰って見せたげよ」》

 道雄と母親の花見は、特別な盛り上がりがなく、二人は家路につく。その途中、道雄は復員してはじめて雑誌を買ってみる。「アサヒ・グラフ」である。
 その表紙の写真は梅の花と、その下には焼野原の東京の姿だった。そして、表紙の片隅に、劉廷芝の詩「代悲白頭翁」のなかの詩句である、
 年年歳歳花相似(年年歳歳花あい似たり)
 歳歳年年人不同(歳歳年年人同じからず)
という文句を、道雄は見つける。
 彼は母親に、その写真を示す。母親のそれを見ての一言が、穏やかな読後感を誘い出してくれる。

 *

 ストーリーには、大した山場はない。甥っ子は、兄さんの帰郷を素直に喜び、町へと繰り出す。老いた父母は相変わらず夫婦喧嘩をしている。父親は、昔のように小言を言う。
 しかし、原子爆弾という未曾有の惨事が起きた後では、そして、あの戦争を掻い潜ってきた後では、なお生きてあることの確かなうれしさというものを、この小説はしっかりと書ききっている。
 そして、戦争の悲劇を声高に叫んでもいない。なんとも春の陽気のような短編なのである。ヒロシマ、原爆、というテーマからすると、むしろその静けさと向日性とは、読み手に強烈な印象を与える。
 最後に登場する、「アサヒ・グラフ」が、いい。小説を明るくすることに効いている。雑誌は、どの時代でも元気のメタファーなのである。
 



ブログ最新記事
2008年03月03日
月イチ論語塾 イントロダクション(ETC.) あとで読む
「なごや博学本舗」のスタッフの方が、第1回講義のイントロをYouTubeにアップしてくださいました。5分ばかりですけど、講義の概要が端的にまとめられています。さすが、呉大人。



Posted by kakerunakasima at 01:47:03 on 2008/05/18

2008年02月26日
「呉智英先生の月イチ論語塾」開講中(ETC.) あとで読む



さて、今日はイベントのご案内です。

掲題の通り、
「呉智英先生の月イチ論語塾」を名古屋で開講しています。
http://hakugakuhompo.michikusa.jp/

主催は「なごや博学本舗」さん。
これまでも日垣隆さんや宮崎学さんなどを招いた
トークライブなどを名古屋で開催されてきた実績があります。

第1回目は2月24日(日)に終了しましたが、
講義は全10回ありますので、途中参加でも問題ありません。
2回目以降の受講者には、第1回目の講義録(音声ファイル)
をお渡しすることも可能だそうです。

まだ定員に若干余裕がありますので、
ご興味ある方はぜひこの機会に受講してみてください。

お申し込みは、
上掲「なごや博学本舗」のサイトにて承っております。
もちろん、私も受講しております(^^

舌鋒鋭い論客として知られる呉氏ですが、
実際にお会いすると、ものすごく気さくな方で、
面白いお話をたくさんしていただけます。

講義内容もまったく堅苦しくありません。
「論語」の通読を目的としていますが、
とりたてて予習などの必要もありません。
漢文が苦手という方も、ぜんぜんOKです(それは私ですw)。

「論語」というと訓話めいた堅苦しいもの
と思いがちですが、2500年前の時代背景を踏まえて読むと、
そこに孔子のルサンチマン(憤りや怨恨)が垣間見える、
と呉氏は言います。

通読することで、
一般には知られていない(あるいは誤解されている)
孔子の生々しい人間像に迫る、というのが講義の主目的です。

地方ではなかなか現役の知識人に接する機会も少ないと思います。
名古屋近辺の方は(もちろんそれ以外の方でも)奮ってご参加ください。


Posted by kakerunakasima at 01:47:03 on 2008/05/18

2007年12月29日
カラ兄日記(BOOK) あとで読む

【一日目】

朝五時起きで『カラマーゾフの兄弟』を読んでおります。しくしく。なんとなく(なんとなくかいっ)、物語の雰囲気に慣れてきました。「大審問官」とか小難しいシーンなんかがあるようですが、まだ微塵も辿り着きません。大審問官さんはどこにいらっしゃるのでしょうか。今のところわかったのは「親父、いいキャラ」ということぐらいです。ビバ! フョードル! でもどうしてもどうしても「フヨードル」と読んでしまいます。あと、グリゴーリーも「グレゴリー」としか読めません。面倒なのでそのまま行きます。アムロ・レイのごとく。行きます。

でもそんな愉快な『カラ兄』に強敵現る、です。有川浩の「図書館」シリーズです。『となり町戦争』と混濁していていたので、なんとなく避けていたのです。いや、『となり町戦争』も読んだことないのですけどね。いちおうこれでも書評家名乗ってます。けっ。……すいません、今、ちょっとやさぐれました。

話を戻せば「図書館シリーズ」です。あ、カギカッコの位置が前と違っちゃいましたね。気にしないでください。で、また話を戻せば『図書館内乱』を読んでしまったわけです。近未来のお話です。主人公は図書館駐留の軍事組織に所属する女の子・笠原郁です。身長170センチです。飛びぬけた身体能力でもって、びしばし敵をやっつける戦闘美少女です。あ、美少女とは書いてなかったな。萌え。

そんな彼女が鬼教官で寸足らずな堂上とラブラブになったり、同僚の柴崎さんはやたら美女だったり、同期の手塚は嫌味な奴だったり、小牧教官は個人的に萌えだったり、というこれまた愉快なお話なのです。これが全4シリーズあるのですが、たまさか手元にあったりするわけです。ああ、なんという偶然(嘘)。そんなわけで、フョードルの卓袱台返し的人生を読みながら、郁ちゃんと堂上先輩の行く末が気にかかったりするわけです。アリョーシャが悲しみにくれていると、柴崎の正体が気になる〜! などと、ついつい考えてしまうわけです。

頭の中はすでにして内乱状態です。紛争状態です。渡航してはいけません。結果、カラ兄より先に『図書館内乱』のほうを先に読了してしまったのです。そして読み終わってから、この作品がシリーズ二作目だということに初めて気がつきました。どうりで細かい設定がよくわからなかったわけです。いちおうこれでも書評家を名乗ってます。けっ。……すいません、今、ちょっとやさぐれました。

【二日目】

全国の「カラ兄」チャレンジャーのみなさま、こんにちは。破天荒親父・フヨードルに振り回されていませんか。僕はぶんぶんやられて少し頭痛がしています。でも、先に書いたように亀山訳はサクサクサク読めるのはいいのですけど、サクサクサクサクとストーリーを忘れていってしまいます。すでにして序盤は忘却の彼方に行ってしまいましたよ、ハラショ。そんな鶏頭ではいろいろ差し支えそうなので、メモを記すことにしましたよ。といっても、うろ覚えなので思い違いも多々あり。

えととりあえず登場人物です。父・フヨードル(ほんとは、フョードル)。地主。稀代の女たらし。長男・ドミートリー。愛称はミーチャです。なんかオリンピックのマスコットキャラみたいな愛称です。可愛い。ですけど、その正体は放蕩息子です。親父といいとこ勝負。次兄・イワンは理論家です、以上。で、三男・アレクセイが本編の主人公。愛称はアリョーシャです。彼は修道僧です。アリョーシャとイワンは母親が同じですけど、ミーチャはフヨードルの最初の妻の子どもです。はい、早くもこんがらがってきましたよ。

一巻の第1編、2編あたりは神学論争がメインの小難しい話だと思っていました(そして忘れた)。けど、おおいなる勘違いでした。これ、ズバリ「寺内貫太郎一家」です。第3編「女好きな男ども」はすごいですよ。ぜひTBSあたりでドラマ化していただきたいものです。ざっと概要を説明しますと、まず親父と長男ミーチャが街の娼婦・グルーシェニカにぞっこんなわけです。ミーチャにはカテリーナという婚約者がいます。かなりこすっからい手を使ってミーチャが落とした美人です(でも今は、グルーシェニカ、ラブ!)。で、そんな彼女に思いを寄せているのが次兄・イワンです。無表情を装った眼鏡の奥ではコイツも何考えてるんだかわかりません。いや、眼鏡かけてるってどこにも書いてないのですけどね。想像。

第3編ではフヨードル、イワン、アリョーシャが仲良くお食事です。そこでハイ、お父さんのグッドなセリフにもうメロメロです。

引用:
〈こんなろくでなしの老いぼれに腹を立てるな、イワン。おれを毛嫌いしているのはわかっている。でも、まあ腹を立てるな。おれなんか好かれるわけがないんだ。チェルマシニャーへ行ってくれ、おれもあとから行くからさ、手みやげ持ってな。向うで娘をひとりおまえに紹介してやるよ。前から目をつけてた娘だ。今んところは裸足で走りまわってるがな。〉(P365)


いや、お父さん、イワン君は怒ってるんですよ。女紹介してやるってのは、この場合、明らかにダウトでしょう。しかも“今んところは裸足で走りまわってる娘”ってどんな娘ですか? 喧嘩売ってるのか。

しかしお父さんの怪気炎は止まりません。もやは、誰にも止められないぜ、ベイベー。

引用:
〈おれにいわせりゃあ……おい、ガキども! おまえたち、尻の青いおまえらにはわからんだろうが、おれの人生に醜女なんてひとりも存在しなかったんだ、これがおれの信念だよ! おまえらの体を流れているのは血じゃなくて乳だし、皮もろくに剥けてないじゃないか!〉(P366)


おお! これは「俺はおまえらと違って、綺麗なお姉ちゃんにモテモテなんだぜベイベー」宣言でしょうか。大人気ない。てか、いい老人の言葉とは思えません。「おまえらの体を流れているのは血じゃなくて乳」というのは名言ですね。うっかり納得させられてしまいそうです。危ない危ない。ですが、二十歳過ぎた我が子に向かって「剥けてない」ってそりゃないよ、ベイベー。

ところが、です。その舌の根も乾かぬうちにお父さん、自爆。

引用:
〈おれには、醜女なんて存在しなかった。女ってことだけでもう全体の半分はカバーしてるんだ……おまえらにはわからんだろうよ!〉(同)


敷居が低すぎますよ!お父さん。誰でもいいってことじゃん…orz

そこへ、長兄ミーチャ登場。小林亜星と西城秀樹ばりの大乱闘の始まりです。ここで、個人的には一番衝撃的な記述にぶち当たりました。ミーチャがフヨードルに掴みかかるまさにそのとき!

引用:
〈しかし相手は両腕を振り上げ、老人のこめかみにかろうじて残る髪をいきなり引っつかんで、どうっと床に叩きつけた。〉(P374)


ハゲだったのかっ!、フヨードル!

(第二巻へつづく)

【三日目】

いやいや、またしても強敵現る、ですよ。『図書館戦争』の笠原郁一等図書士に萌え〜と書いたのはつい先日のことですけど、今度のキャラは『電脳コイル』だ。ジャジャ〜ン。って言っても「わけわからんぞ、ごるああ」な方々が多いことでしょう。まったくもって申し訳ないです。でもですね、これに登場する女の子はなんと全員「眼鏡っ子」なわけですよ。てか、眼鏡がある種の重要アイテム、という設定なのですね。「電脳メガネ」っていうのですが、ようはそれがネット端末なわけです。小学生専用の、ってとこがポイントです。ここ、テスト出るぞ〜。

そんなわけで、アリョーシャはなかなか長老のところまで辿り着けませんよ。長老さんはもう臨終の床にあります。もう長くはないです。なのに、まったく不信心なやつです、アリョーシャ。「いや、おのれが脇道にそれてるからじゃん」と思ったそこのあなた。あなたですよ。それは早とちり、ちりとてちんというものです。修道院を出てからこっち、アリョーシャはあっちフラフラ、こっちフラフラです。まるで「ねじ式」の主人公のようです。まったく主体性がない。フヨードルに命令されて実家へ直行、そのあともなぜか寄り道三昧です。

その章のタイトルがまた秀逸――〈小学生たちと知り合った〉。名作の誉れ高き本作において、この脱力感溢れるタイトルはいかがなものでしょう。しかもここで、アリョーシャはデンジャラスな行動に出ます。ちょっと引用してみましょう。

引用:
〈アリョーシャは、子どもたちの脇を無関心のまま素通りすることがけっしてできないたちだった。モスクワにいたころもそうで、ことに好きなのが三つかそこらの子どもだったが、十ないし十一歳ぐらいの小学生もたいそう気に入っていた。〉(第2巻P47)


みなさ〜ん、ここにヘンな人がいますよぉ! 不審者発見! ケーサツ呼んでくださいっ! ウーウーウー。

ああ、やはりおまえもかい、アリョーシャ。しかもロリコンときたもんだ。「ことに好きなのが三つかそこらの子ども」ですか。で、「十ないし十一歳ぐらいの小学生もたいそう気に入っていた」のですね。純情そうな顔をして、正体見たり枯れ尾花。いや違う違う。お父さんは泣いているよ。いや、呵呵大笑してますか。強欲親父の血は争えませんね。あ、放浪するアリョーシャ君の心の叫びが聞こえますよ。よく耳を澄ましてみましょう。おやおや「医者はどこだ」って言ってますよ。すぐ「シリツ室」へ運んであげてください。メメクラゲに左腕を噛まれたそうです…って、あっ、「ねじ式」の元ネタってここかっ! ここだったのかっ!

(意味不明なままつづく)

【四日目】

ぎゃーす。ちょっと休憩、と思って夜9時に布団に入ったら爆睡してしまいましたよ。サンダース(ウチの奥さん)が途中で起こしてくれたそうですが、「むにゃむにゃ、もう食べられないよう…」というテンプレートな寝言を繰り返すばかりだったそうです。近所の番犬ジョンの遠吠えでかろうじて目が覚めました。ありがとうジョン! 「おめえ、狂犬病なんじゃないの?」なんて今まで疑ってごめん。でももう朝の五時だけどな。

さてさて困っちゃいました。すでにして「大審問官」のあたりは忘却の彼方へ去ろうとしています。頭の海馬君が「もうこの記憶いらないよね」とばかりに、どこかの引き出しにしまったようです。現在家捜し中@脳内。でも眠っているあいだに、ひとつだけ気がついたことがありますよ。先回までこの小説は「寺内貫太郎一家」的ホームドラマと定義してましたけど、どうやらちょっと違っていたようです。てへ。

じつはこれ、BLですよ、BL! ボ・ー・イ・ズ・ラ・ブだったのですよ。ああ、ユーレカッ! 長老ゾシマがミーチャにひれ伏したあたりからどうも嫌な予感はあったのですよね。その正体見たり枯れ尾花っ! 違う違う。「アリョーシャロリコン疑惑」を昨日書き記しましたけど、よくよく考えると、あの場面に登場した少年「イリューシャ」との出会いはなかなかにBLチックです。いや、読んだことないのだけどね、BL。

イリューシャの愛はなかなかに攻撃的です。いきなりの石つぶて攻撃です。まずはアリョーシャの肩に一発(あ、その前に彼はいじめっ子らのド頭に直撃弾を食らわせてます)。続いて、歩き去ろうとするアリョーシャの背中目がけて至近距離からの一発です。これはさすがの聖人、アリョーシャ君もぶち切れます。果ては指を食いちぎられるのですよ、アリョーシャ。もうなんだかすごいプレイとしか言いようがありません。恍惚のアリョーシャ。

しかも少年とだけではありませんよ。続いて十四歳の少女リーズにプロポーズして熱い接吻を交わしたアリョーシャ君、その舌の根(というか唇)も乾かぬうちに、今度はなんとイワンにキッスですよ。実の兄ですよ。「北斗の拳」に喩えるならば、ケンシロウとトキのラブシーンです。そのうちラオウとケンシロウという組み合わせも出てくるかもしれません。同人誌か、これは。禁断の愛です。見事な両刀使いです。免許皆伝です。天然自然流ってやつでしょうか。帝政ロシア末期って、ほんとになんでもありなんですね。ああ、ドクター・フーのタイムマシンで連れて行っていただきたいものです。

(まだ続く)

【五日目】

全国「カラ兄」チャレンジャーのみなさま、こんにちは。読む進むごとにやさぐれてきていませんか。僕はかなりやさぐれています。なんたってこの物語、ひとりとして善人が登場しません。気が滅入ります。子ども電話相談室なんかで絶対に薦めていはいけない本です。心清らかな青少年たちがニート、あるいはワーキングプアになってしまうこと必定です。とりわけ、ミーチャにーちゃんにだけにはシンクロしないでくれと思わないではいられません。ですけど敵もさるものです。さすが長兄ラオウだけあって、力だけは強いです。かなぁり負の力ですが。北斗神拳究極奥義「無想転生」をもってしても、おそらくミーチャのライフポイントは1コペイカぐらいしか減らせないでしょう。それよりも、三千ルーブルをあげてやってください。きっと犬のように小躍りして喜ぶことでしょう。こんなやつです、長兄ミーチャ。

いったいドストエフスキーさんはこの作品で何を言いたかったのでしょうか。おお、いきなり文学的な問いかけをしてみたりしましたよ。う〜ん、としばし黙考して、おじさんはひらめきましたよ。きっとこれ、「人志松本のすべらない話」なんですよ。昨日はBLと書きましたけどね。てか、すでに小説でもないやん。バラエティだったんかい、カラ兄。でもですよ、そう考えるとスイスイと読み進むことができるから不思議です。これはけっこう当たらずとも遠からずですよ、きっと。えっへん。

まっちゃんはもちろん、ドスさんどす。で、彼がサイコロを振って、ミーチャとかアリョーシャとか指名するわけですよ。いつも外さないのはやはりミーチャですね。彼は千原ジュニアばりの話芸を(といっても、ミーチャの場合は天然なんですけどね)披露してくれます。逆に、「おい、この話、いつオチがつくねん」とハラハラさせてくれるのがアリョーシャ君です。そういえば本家「すべらない話」でも、一度、そんな外国人芸人を見たことがあります。オーストラリアかどっか出身の芸人さんです。オチをつけようと焦るほど、深みにずぶずぶとはまって行くあたりなんかは、どっちかというとミーチャの十八番でもありますね。

では、いってみましょう。「ドスさんのすべらない話」ザ・ゴールデン!

ド「う〜ん、じゃ、次」

サイコロコロコロ

ド「お、千原ミーチャ。いってみよか」

ミ「え〜とですね。これ、第三巻の話ですわ。僕ねえ、二巻のあいだずっと出番なしなんすよ。弟のアリョーシャもぜんっぜん来てくれへんし、金もないわで、ごっつ困ってましたんねん。で、これはもうどうしようもないと。で、もう最後の手段や、これで決めなアカンおもたんですわ。なんせ三千ルーブルの借金ですやん。覚悟決めて、行ったんですよ。ホフラコーワっちゅうオバハンのとこなんですけど、恥ずかしい話、この人、僕の彼女の親戚なんですわ。でもこっちもそんなこといってられへん。土下座でも何でもする覚悟で家まで行って、金貸してください! 言いましたわ。そおしたらオバちゃん、めっちゃ機嫌よう、言うてくれはったんです」

引用:
〈あなたはいくらかお金が入用なんですね。三千ルーブルが必要なのかしら、でもわたしがさしあげるのは、もっとすごくたくさんなんですよ。〉


ミ「もう、こころのなかでは“やったぁ〜〜、ごらぁぁ”ですわ。じゃあ、もうすぐくれと、はよくれと思いますやん。そしたらオバハン、いきなりこうですわ」

引用:
〈あなた金鉱のことをどう考えていらっしゃるかしら〉


ミ「思わず“はぁ〜?”思いますやん。よくよくオバちゃんの話聞いとったら、金鉱掘って三千ルーブル掘り出しこて来いっちゅう話なわけですよ。もうこっちもカーーーとなって、机をガーーンってぶっ叩いたら…」

引用:
〈「あれ!」、ホフラコーワ夫人は仰天して叫び、客間のもう一方の隅まではじけ飛んだ。〉


ミ「って、オバちゃん、飛びすぎやっ!」

ミ「で、もうしょうがないから、そこ飛び出して、しゃにむに走っとたら、いきなりドーンてぶつかったんですわ。誰や? 思たら、これが愛しのグルーシェニカのパトロン・サムソーノフんとこの女中ですわ。グルーシェニカはどこやっ? って詰め寄ったらどうも要領えんことばっかいいますねん。で、思わず」

引用:
〈嘘だろう、くそ婆あ!〉


ミ「って怒鳴り散らかしたんですわ。そしたら」

引用:
〈「あれえ」と老婆は叫んだ〉


ミ「って、オバちゃん、くるくるくる〜って。飛びすぎやっ! てかおんなじリアクションかいっ!」


(そして夜は更けていく)

【六日目】

さてさて、ようやく第四巻の中盤まで辿り着きましたよ。これで山頂もちょっとぐらい顔を見せてくれると思ったのですが、大間違いでした。さすが世界文学の最高峰。ちょっとやそっとじゃそのてっぺんを拝ませてくれはしません。物語は一面ブリザード。大嵐が吹いていました。こっちはすでに高山病の兆候ありです。酸欠で息もたえだえです。ページを開くとバタンキューです。メロリンQ!。眠ってはいけませぬぞ、姫様。嗚呼、勘助…。

なんてやってる場合じゃありません。体はとうの昔にメロリンQなのですが、頭のほうが覚醒しきっております。シナプス君が張り切って、なにやら脳内物質大放出です。も、もしやこのまま覚醒するのかオレ? 「覚醒って気持ちいい〜」とか言っちゃうんでしょうか。 あ、すんません。我が家で今、大ブームとなっている漫画『クレイモア』の話です、これ。『図書館戦争』『電脳コイル』に続いて、お正月の楽しみに取っておいた『クレイモア』にまで手をつけてしまいまいた。先に全巻読破したピクモン(ウチの子)はストーリーをうっかりすっかり喋ってしまうので気が気じゃありません。全巻そろえるんじゃなかったなあ(遠い目)。

ですけど、カラ兄も負けてはいませんよ。三巻目あたりからだいぶノリがよくなってきました。浅草花やしき、日本最古のローラーコースターぐらいのスピードは出てますよ。1853年(嘉永6年)開園だそうですから、古さでは負けてはおりません。打倒!ドス! 

さて、物語のほうは、死亡フラグ立ちっぱなしだった親父・フヨードルがついにっ! という展開になりましたよ。もちろん容疑者としてドナドナされていったのは、脇の下が甘々だったミーチャ兄です。あちこちで借金を断られたあげく、親父のところに乗り込んで、使用人のグレゴーリーを半殺し。しかも凶器の杵を現場に放置。その後、血塗れ姿で知人宅を訪問。大金を手にしてグルーシェニカと大宴会。状況証拠はバッチリです。「父殺しの男が…」とキシリア閣下もご立腹です。あ、ガンダムの元ネタもここかっ!

ところがですよ。第四巻ではどうも様子がおかしくなっています。淫売女グルーシェニカはなんだか「ミーチャ命っ!」とか叫んでます。あれほど毛嫌いしてたのに、容疑者になった途端にスキになるってどうしたことでしょう。しかも周囲からもなんだか尊敬されちゃってますよ。あれれ、もしや三巻と四巻のあいだに、僕の知らない三.五巻でもあったのかもしれません。元カノのカテリーナもなんか怪しいですよ。

ここで次兄イワン降臨。モスクワに逃げたと思ってたのですが、意外にも彼が探偵役でしたよ。四巻のクライマックスは真犯人とイワンの対決シーンでしょう。最後にカッコいいところを持っていっちゃうなんて、さすが眼鏡っ子は違いますね。「じっちゃんの名に賭けて!」の名推理。ハラショ。と思いきや、なんと第四巻P350にて、ラスボスの登場です。真の黒幕がぼやぼやと現れましたよ。あと400ページ。何が起きるかまだ眼が離せません。ところで、アリョーシャはどこ行ったんでしょうか?

【七日目】

ついにやりましたよ! キツツキ戦法を見破られて一時は苦戦を強いられましたが、ワタクシの目にも真田の六文銭の旗印がよう見えもうした。お屋形様…勝鬨を…勝鬨をおあげくださいませ…バタリ、という勘助の心境です。きっと19世紀ロシアの読者の方々も、こんな気持ちだったに違いありません。極寒の地で、細々とした暖炉の灯火をたよりに雑誌をめくるロシア市民。両の手をハアハアやりながら凍える仕草に思わず萌えてしまいそうです。さぞかしお寒うございましたことでしょう、姫様。ワタクシめがその気持ちを世紀を超えて代弁してあげましょう。サン、ハイッ! 「長ぇよっ!ドス!!!」

さて第四巻後編は、ミーチャ兄の法廷劇です。ノリはまさに「逆転裁判」! ゲームです。ついにDSにまで魔の手を伸ばしてくるとは、さすがドス。その先見性に驚かされるばかりです。ゲームオタクでもあったか。とはいえ僕は「逆転裁判」やったことないので、スルーです。へっへっへ。そうそうドスの思い通りにはさせませんよ。ここはひとつ、ワタクシの得意とする遊戯王デュエルモンスターズで勝負だっ! なんでだ!

ワタクシはもちろんミーチャ無罪の側につきますよ。モスクワからやってきた弁護士フェチュコーヴィチを応援です。でも名前を読むたびに脳内で噛んでしまうので、彼のことは「フェチ」と呼ばせていただきます。いよ! フェチ。こんな感じで気軽に呼んであげましょう。対する検察側は、心理学の達人イッポリートです。こちらは名前を読むたびに、なぜか卑猥なイメージが脳内でちらついて困ります。モザイクかけちゃってください。このままでは映倫通りませんよ、イッポくん。

デュエルのほうはイッポ君の先行です。彼の手札には、うっかりミーチャが残した数々の物的証拠がてんこ盛りです。証人もグリゴーリー、ラキーチン、スネギリョフ、トリフォーンなどなど、ミーチャの有罪を後押しするような人物が勢ぞろいです。優勢です、イッポ君。ところがこの証人喚問で、ことごとくイッポ君の手は裏目に出るばかりです。あっさり、フェチ君に覆されます。もしや、無能? ではちょっとそのデュエルログを拝見してみましょう。

イッポ「私は手札から、“門番グリゴーリー”を召還! このカードが召還された時、ミーチャの証言を覆すことができるっ!」

フェチ「トラップカード発動っ! スピリッツ・マッサージの悪酔い! このカードは、相手モンスターの証言力を半分にする! よって“門番グリゴーリー”の効果は無効となる!」

そんな(どんなだ)丁々発止のカードバトルが繰り広げられるわけですが、ついに終盤、「カーチャの裏切り」「イワンの発狂」「百姓の意地」の最強コンボが完成。さらに「スルメジャコフの呪い」の効果発動により、“神”のカードが降臨っ! 必殺技「ゴッド・コンプレックス・クラッシャー!!!」をまともに浴びたミーチャのライフポイントはゼロとなってしまいました。260ページにおよぶ一大バトルの終了です。ここでフェチ君とイッポ君は、晴れ晴れとした表情で握手です。「真のデュエリストはキミだ」なんて、お互いをたたえあってますよ。肝心のミーチャは、あれれ、蚊帳の外で真っ白に燃え尽きてます。涙を誘う大団円です。誰も同情してないけどね。

(読み終わったんだけど、まだ続く…かも)

Posted by kakerunakasima at 01:47:03 on 2008/05/18

2007年12月14日
お詫び(ETC.) あとで読む
2007/12/12, 08:23 PM 〜本日未明まで、レンタルサーバーのディスクチェックメンテナンスのため、サイトが表示されませんでした。ご訪問いただいた読者の皆様にはたいへんご迷惑をおかけいたしました。お詫び申し上げます。(中島駆)

Posted by kakerunakasima at 01:47:03 on 2008/05/18

2007年12月11日
2007年 年間ベストセラー(ETC.) あとで読む
大手取次トーハンのサイトで、
「2007年 年間ベストセラー」が発表されています。

総合部門の1位から3位は以下となっています。



1)『女性の品格 装いから生き方まで』(坂東眞理子)
2)『ホームレス中学生』(田村裕)
3)『鈍感力』(渡辺淳一)

で、話題になっているのは文芸部門ですね。



1)『恋空 切ナイ恋物語 (上・下)』(美嘉)
2)『赤い糸 (上・下) 』(メイ)
3)『君空 ‘koizora’another story』(美嘉)

というわけで、トップ3はすべてケータイ小説です。

ちなみに、『恋空』のアマゾンのカタログページはすごいことになってます…
800ものカスタマーレビューって初めて見ました。

ところで売上ではケータイ小説が上位にランクインしていますけど、
本好きな読者が選ぶランキングのほうはまた違った様相を呈しています。

たとえば、今月発売の書評誌『ダ・ヴィンチ』でも
年間ランキングが発表されています
こちらは売上とは関係なく、あくまで好きな作品のランキングです。

小説部門の上位3作は以下となっています。



1)『夜は短し歩けよ乙女』(森見登美彦)
2)『楽園(上・下)』(宮部みゆき)
3)『一瞬の風になれ』(佐藤多佳子)

上位20位のなかにケータイ小説は一作も入っていません。

『ダ・ヴィンチ』の集計は、
昨年10月から今年の9月末までに発行された書籍を対象としています。
なので、集計期間が売上ランキングとは異なります。
それでもこれだけ、「売上」と「評価」に温度差が出た年
というのも珍しいのではないでしょうか。

ケータイ小説の場合、
メインの読者層は高校生のようです。
結果的に、若者の活字離れに歯止めをかけたということであれば、
作品の出来はともかく、それなりに意義深いことかもしれませんね

Posted by kakerunakasima at 01:47:03 on 2008/05/18









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